プロフィール
山本 博和さん
1965 年神戸市出身。明治大学理工学部を卒業後、1996 年株式会社山本電機製作所に技術者として入社。2006 年代表取締役社長に就任し、現在に至る。
従業員の自主性を尊重し、多様性を活かした組織づくりに取り組んでいる。固定概念にとらわれない柔軟な経営スタイルを貫き、新しい価値を生み出す環境づくりに注力。
インタビュー
教育と組織のあり方について
岡内
本日はよろしくお願いいたします。まず、山本さんが教育や人材育成についてどのような考えを持っているのか、お聞かせいただけますか?
山本さん
こちらこそ、ありがとうございます。ずっと感じていたのは「このままの教育ではいけない」ということでした。自分の子供が生まれてから特に、今の教育のあり方に疑問を持つようになりました。そんな中で、青楓館の取り組みを知って「これは素晴らしいな」と思ったんです。
青楓館のような多様性を尊重する学校のあり方は、一つの大事な選択肢になるのではないかと。私の中で明確な答えがあるわけではないですが、「何か関われるのではないか」という直感がありました。社会にはさまざまな人がいて、その多様性を活かす組織づくりが求められていると思います。
組織で大切にしている考え方
岡内
山本さんの会社では、従業員の環境づくりに力を入れていると伺いました。その背景や考えについて教えてください。
山本さん
私自身、がむしゃらに働くことが全てではないと考えています。どれだけ努力しても結果が伴わないこともある。だからこそ「方向性を見極めること」が大事なんです。
また、人材についても「これしかできません」というI型人間ではなく、「広く物事を捉えられるT型人材」を増やしたいと思っています。例えば、機械設計の仕事をしている人でも、マーケティングの視点を持つことが大切です。ただ専門知識を持っているだけでなく、「この技術が社会にどう役立つのか?」と考えられる人が、これからの時代には必要になってくると思います。
だからこそ、組織の中でも「面白いことをやる」「自分の好きなことに挑戦する」環境を大切にしています。実際に、うちの社員の中には勝手に新しい製品を開発してしまう人がいるんですよ(笑)。「こんなの作りたいんですけど」と言われたら、「お金かかる?」と聞いて、「そんなにかからないなら、やってみたら?」と後押しするようにしています。
「楽しく働く」ことの重要性
岡内
山本さんの会社では「楽しく働く」ということを大切にされていると聞きました。その考えに至った背景を教えてください。
山本さん
大きな理由の一つは、父の経営スタイルへの反発ですね。父の時代は「とにかくがむしゃらに働く」ことが美徳でした。しかし、それだけでは良い結果には結びつかないこともある。むしろ、人との連携を大事にしながら、協力してものづくりを進める方が、より良い成果につながると感じています。
また、単に「売上を上げろ」「数字を達成しろ」とプレッシャーをかけるのではなく、「何をするのか?」という行動目標を大事にしています。努力しても結果が出ないことはありますし、売上が上がる要因も外的なものが多い。だからこそ、「何をやったか?」に焦点を当てて評価するようにしています。
実際、うちの社員の中には、仕事の合間に3Dモデリングソフトを独学で学び、自社製品のCGを作ってしまう人もいます。そういうのを見ると「すごいな」と純粋に思うし、会社の中でもどんどん共有して、「こんな面白いことをやろう」と巻き込んでいく。そうすることで、自然とモチベーションも上がるし、結果的に組織全体の成長につながっていくんです。
面白いことを考え、挑戦する姿勢
岡内
社員の方々が自発的に動く環境をつくるために、具体的にどのような工夫をされていますか?
山本さん
「面白いことを考えよう」と言い続けることですね。特にプレゼンやピッチの場面では、「絶対に笑いを取れ」と言っています(笑)。それくらい、相手に興味を持ってもらうことが大事なんです。話が面白い人の話は聞きたくなるし、仕事でも「この人と一緒にやりたい」と思われることが、結果につながる。
青楓館の生徒たちのプレゼンを見たときも、「すごいな」と思いました。うちの社員にも見せて、「我々ももっと笑いと愛を語ろう」と言いたくなりましたよ(笑)。
最後に
岡内
最後に、これからの時代に必要な人材について、メッセージをお願いします。
山本さん
「好きなことをやれ。面白いことを考えろ。」これに尽きると思います。
何かに夢中になっている人は、自然とモチベーションが高まり、結果的に良いものを生み出すことができる。だからこそ、青楓館のような場で、自由に考え、挑戦する機会を持てるのは素晴らしいことだと思います。
岡内
本日は貴重なお話をありがとうございました!
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