学校を辞めてから探してはいけない 転入前に知る「在籍の切れ目」の話

学校に行けない日が続くと、「いったん辞めて、気持ちを切り替えてから次を探そうか」という考えが浮かぶ方もいるかもしれません。区切りをつけたほうが、本人も楽になりそうな気がします。

ただ、この順番には大きな落とし穴があります。「辞めてから探す」のか、「探してから移る」のか。似ているようで、結果がまったく違ってしまうのです。

鍵になるのは「在籍の切れ目」という考え方です。転入の相談の現場で保護者に必ず伝えられている注意点を、仕組みから順に解説します。

お話を聞いた人

梶勇さん|青楓館高等学院 明石校舎 マネージャー。保護者面談、合同説明会、中学校への挨拶回りなど、保護者に通信制高校とサポート校の仕組みを直接説明する現場に立ち続けている。

目次

在籍の切れ目はそのまま卒業要件の不足になる

前提になるのは、高校卒業の要件です。高校を卒業するには、3年以上の在籍、74単位以上の取得などの条件を満たす必要があります。*1 ポイントは1つ目の「3年以上の在籍」で、これは通算の在籍期間で数えます。

つまり、前の学校での在籍期間は、次の学校に引き継げます。ただし、間に空白があれば話は別です。梶さんはこう説明します。

「仮に2週間でも1ヶ月でも、退学している・在籍をしていないというタイミングがあれば、丸3年を満たそうとした時に、その分の幅が出てしまう」

学校を辞めてから次を探すと、この「在籍していない期間」が生まれてしまいます。そしてこの空白は、空白の長さ分だけ卒業が遅れる、という単純な話では済みません。

1ヶ月の空白が1年の遅れになる

通信制高校では3学期制はあまり見られず、2学期制か1学期制が多いそうです。在籍や単位認定の区切りが学期単位になるため、空白がひとつの区切りをまたぐと、遅れは次の区切りまで丸ごと広がります。

「前期後期制の学校であれば半年ずれると思いますし、1学期制のところであれば1年間ずれますし」

空白が1ヶ月なら遅れも1ヶ月、とはならないのがこの仕組みの怖いところです。極端に言えば、1日、2日の切れ目でも、移る先の学期の組み方によっては、卒業が1年遅れることがありえます。

不登校でも在籍だけは続けておく

では、どう動けばいいのか。答えはシンプルで、次の行き先が決まるまで、今の学校に籍を置いたままにしておくことです。学校に行けていなくてもかまいません。

「不登校でもいいんですが、在籍は続けているということはとても重要になります」

在籍したまま別の高校へ移ることを「転入学」、退学してから入り直すことを「編入学」と呼びます。*2 在籍の切れ目が生まれるのは後者です。切れ目なく移れる転入学の形を取れるかどうかが、卒業の時期を左右します。

探して、決めて、切れ目なく移る。この順番さえ守れば、空白は生まれません。「もう行かないのだから」と先に退学の手続きをしてしまうことだけは、避けてください。

動くなら知っておきたい時期のライン

同じ学年のまま、同級生と同じ時期の卒業を目指したい場合には、時期のラインもあります。梶さんによると、シビアになり始めるのは3年生の2学期の途中あたりからです。

それまでに取得している単位数にもより、前の学校とこれから行く学校の間での状況確認や、残りの期間でスクーリングを現実的に組めるかどうかの確認が必要になります。1年間に取れる単位数は学校によって異なるため、「間に合うかどうか」は個別の確認が前提になります。

単位は基本的に前の学校から引き継げます。ただし例外もあり、高等専修学校のように高校の括りから外れる学校区分では引き継げる単位がごく一部になったり、工業高校・商業高校のような専門科の学校では持ち越せる科目と持ち越せない科目が出たりします。心当たりがある場合は、早めに移り先の学校に確認してください。

出遅れても取り返せる

最後に、希望の話です。たとえば1年生のときにほとんど出席できず、単位が取れていなかったとしても、それで高校3年間の見通しが立たなくなるわけではありません。

単位は1年あたり25単位程度ずつ、3年間に分散して取るのが基本形です。ただ、履修数に制限のない学校であれば、残りの2年間で37、8単位ずつに分けて取ることもできます。実際に、そういう希望を持って移ってくる人はいるそうです。

「最初に1年間を棒に振ったけど、2年・3年でまとめて全部取りたい、みたいな方はいらっしゃいます」

出遅れた1年は、残りの2年で取り返せます。大事なのは、取り返しのきかない空白を作らないこと。在籍を続けたまま、落ち着いて次を探し始める。それがいちばん安全な順番です。

参考文献

*1: 文部科学省|定時制課程・通信制課程の現状について

*2: 兵庫県教育委員会|公立高等学校への転入学・編入学を希望する方へ

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この記事を書いた人

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