子どもが学校に行きづらくなっている。教室に足が向かない日が増えてきた。このまま今の高校を続けるのは難しいかもしれない……。そんなふうに子どものことで悩んで、何か動かなければと、別の学校を探し始める。
けれど、いざ調べてみると、これがなかなか難しいものです。通信制高校、サポート校、フリースクール。聞き慣れない言葉が次々に出てきて、仕組みの違いもよくわからない。
どの学校のサイトを見ても「個性を大切に」「一人ひとりに寄り添う」と書いてあって、いいことが並んでいるぶん、かえって何を基準に選べばいいのか見えてこない。資料を取り寄せてみても、決め手がつかめないまま時間が過ぎていく……。
そんなふうに、探そうとして立ち止まっている方に、青楓館高等学院(兵庫県明石市・芦屋市)のことをお伝えします。
そもそも、通信制高校とサポート校はどう違うのか
まず、「通信制高校サポート校」という言葉を整理しておきます。ポイントは、世の中には「通信制高校」と「通信制高校サポート校」という二つの存在がある、ということです。名前が似ているので混乱しがちですが、役割が違います。
一つめの通信制高校は、高校卒業の資格を出す学校そのものです。毎日通学しなくても、レポート提出やオンライン学習などを通して高卒資格を取れる。自分のペースで進められるのが、大きな特徴です。
二つめの通信制高校サポート校は、その通信制高校に通う生徒を支えるための存在です。通信制高校は自分のペースで進められる反面、一人で学習を続けるのは簡単ではなく、途中でつまずいてしまう生徒も少なくありません。その学習や生活面を、通信制高校と提携して支えるのがサポート校です。
生徒は通信制高校に籍を置いて高卒資格を目指しながら、ふだんはサポート校に通って過ごす、という形になります。高卒資格そのものは提携先の通信制高校から得られるので、もちろん大学進学にもつながります。
| 通信制高校 | 通信制高校サポート校 | |
|---|---|---|
| 役割 | 高卒資格を出す学校そのもの | 通信制高校に通う生徒を支える存在 |
| 高卒資格 | 出せる | 提携先の通信制高校を通して取得 |
| 大学進学 | できる | できる(高卒資格が取得できるため) |
| 主な役目 | 学習の単位認定・卒業認定 | 日々の学習や生活のサポート |
青楓館高等学院も、この通信制高校サポート校のひとつです。提携先の通信制高校に籍を置きながら、生徒が日々通い、過ごす場所は青楓館になります。
選ぶときに、見てほしいこと
学校がたくさんあって選べないとき、何を見ればいいのか。パンフレットに並ぶ「個性を大切に」「寄り添う」といった言葉は、どの学校も書いています。だからこそ、言葉ではなく仕組みで見ることをおすすめします。
自由に通えるという制度が、放任とどう違うのか。卒業まで、そして卒業の先まで、その学校がどう支える仕組みを持っているのか。そこを見ていくと、似たように見える学校の違いが、はっきりしてきます。
その視点で、まず世の中の通信制高校の現実から見ていきます。
多くの通信制高校が抱えている、厳しい現実
通信制高校やサポート校と聞くと、「自由に通える」というイメージがあるかもしれません。たしかに自分のペースで進められるのは魅力です。けれど、その自由が放任に変わってしまうと、話は別です。
いま、通信制高校に通う生徒は全国で30万人を超え、高校生のおよそ10人に1人にあたります。決して特別な選択肢ではありません。ところが、3年間で卒業できる生徒は全体の3割ほどにとどまるというデータがある。しかも、卒業できた子の中にも、進路が決まらないまま学校を出ていく子が少なくないのです。
自由を与えられても誰にも気にかけてもらえず、友達もできないまま孤立してしまう。多くの通信制高校で起きているのは、そういう現実です。
そして、途中で学校を離れてしまった子どもたちが、その後どうなるのか。それを追いかけたデータは、ほとんどありません。受け皿が世の中に用意されないまま、見えなくなってしまう。子どもの将来を思う保護者にとって、これは見過ごせない問題だと思います

青楓館は、「自由なだけ」では終わらせない
青楓館にも、自由なところはあります。週5日開校していますが、登校するかどうかは生徒自身が決められる。その点だけ見れば、他の通信制高校と変わりません。けれど、自由と放任は違う。
青楓館が大切にしているのは、自由でありながら、子どもをひとりにしないことです。週に一度、生徒一人ひとりと1対1で面談を行い、その子が今どんな状態にあるのかを、学校がきちんと把握しています。
「自由だけを与えられると、いつ来ていいのか分からないし、つい遊びに行ってしまうこともある。だからワンオンワンを毎週やって、しっかり関わり続けているんです」(代表・岡内大晟さん)
転校してくる生徒には、入学直後の3日間にオリエンテーションの期間を設けています。学校での過ごし方を細かく伝え、友達ができるきっかけをつくり、最初の一週間を越えたところで、これからをどう過ごすか先生と一緒に決めていく。つまずきやすい最初の時期に、ていねいに伴走する仕組みがあります。
このオリエンテーションは、オンラインでも受けられます。いきなり毎日通うのは不安、という子も、まずは画面越しから少しずつ慣れていけるので、最初の一歩のハードルはぐっと下がります。
今の学校が合わなくても、やり直せる
青楓館には、他の通信制高校から転校してくる生徒も少なくありません。
通信制高校なら通えると思って入ったのに、そこでもうまくいかない。自由なだけで放置され、友達もできず、また足が遠のいてしまう。「ここなら大丈夫だと思ったのに」と、親子で行き場をなくしてしまうことは、決して珍しくありません。青楓館は、そうした子にとっての、新しい行き場になれる場所でありたいと考えています。
ここで大きいのが、退学と転校の違いです。高卒資格を得るには、合わせて3年間の在籍が必要になります。一度退学してしまうと、それまでの在籍がなくなるわけではありませんが、退学してから次の学校に入り直すまでの空白期間は、在籍年数に数えられません。その分、卒業までに余計な時間がかかってしまうことがあります。
けれど転校であれば、これまでの在籍年数を引き継いだまま移ることができます。今いる学校が合わなくても、これまでの時間を失わずに、環境だけを変えられる。今まさに「このままで大丈夫だろうか」と感じている方にとって、これは大きな安心材料になるはずです。

そして、進路という出口まで支える
仕組みとして青楓館がもう一つ持っているのが、進路という出口への道筋です。個性を尊重するだけで終わらせず、その先の進学までつなげている。そこも大きな特徴です。
大学受験は、学力試験ではなく総合型選抜を使うのが基本で、関関同立をはじめとする大学や、海外大学への進学実績もあります。
「小学校の高学年からずっと不登校で、偏差値もない、模試を受けたこともない。そういう子たちが、想像していた2段階も3段階も上の進路に進んでいく。それが、うちのひとつの特徴だと思います」(代表・岡内大晟さん)
学校に行けなかった子が、数年後には自分の進みたい道を見つけ、その先へ歩いていく。卒業して終わりではなく、社会への出口まで見据えて支える。先ほど触れた「途中で離れた子の受け皿が世の中にない」という現実と比べると、青楓館がどこに力を入れているかが見えてくると思います。
迷っているなら、まず仕組みを知ることから
ここまで、通信制高校とサポート校の違いから、青楓館がどんな仕組みで生徒を支えているのかまでを見てきました。学校選びで大事なのは、「個性を大切に」といった言葉の印象ではなく、卒業まで、そしてその先まで、どう支える仕組みがあるかを知ることです。
編入や転校の選考も、青楓館では基本的に面談と書類のみで、学力試験はありません。今の学校が合わないと感じていても、これまでの時間を活かして移れる道があります。まずは仕組みを知り、選択肢を一つ増やしておく。それだけでも、行き詰まった気持ちは少し軽くなるかもしれません。
とはいえ、仕組みが分かっても、「うちの子に本当に合うのか」という肝心のところは、まだ見えてこないと思います。それは、実際にその学校で何が起きているのかを知らないからです。後編では、青楓館の教室で子どもたちがどう過ごし、どう変わっていくのか、その中身に踏み込んでいきます。

前編では、制度や仕組みの面から青楓館をお伝えしました。後編では、その中で実際に何が起きているのかを、もう少し近くから見ていきます。「好きなもの」を隠してしまう子どもたちのこと、週に一度の面談で交わされている言葉、生徒たちが3年がかりで取り組んだ熊本・大津町の公園づくり、そして「自分がいなくなったあと、この子は社会でやっていけるのか」という、保護者がいちばん深いところで抱える不安に、青楓館がどう応えようとしているのかについて。



