不登校のあとの進路を調べていくと、どこかで「高卒認定」という言葉に行き当たります。「高校に行かなくても、試験に受かれば高卒になれるらしい」。そんな理解で覚えている方も多いかもしれません。
その理解には、大きな間違いが含まれています。高卒認定に受かっても、「高卒」にはなりません。ここを知らないまま進路を組み立てると、あとで設計をやり直すことになりかねません。
この記事では、高卒認定と高校卒業の違いを整理したうえで、どういう人に合う制度なのかまで解説します。
お話を聞いた人
梶勇さん|青楓館高等学院 明石校舎 マネージャー。保護者面談、合同説明会、中学校への挨拶回りなど、保護者に通信制高校とサポート校の仕組みを直接説明する現場に立ち続けている。
合格しても最終学歴は高卒にならない
高卒認定の正式名称は「高等学校卒業程度認定試験」で、文部科学省が実施する国の試験です。かつての「大学入学資格検定(大検)」の後継にあたります。
名前をよく見ると、「卒業」ではなく「卒業程度」の「認定」とあります。この試験が認定するのは、高校を卒業した人と同等以上の「学力」があることです。高卒認定が証明するのは学力であって、学歴ではありません。合格しても、高校を卒業しなければ最終学歴は高校卒業にならず、中学卒業のままです。*1
取材でこの点を確認したときも、梶さんの答えは即答で「ならない」でした。現場でも必ず確認が入る、それだけ誤解の多いポイントだということです。

高卒認定でできること
では、合格すると何ができるのか。いちばん大きいのは、大学・短大・専門学校の受験資格が得られることです。ほかにも、公務員試験や一部の国家資格の受験資格にもつながり、採用試験や国家資格の中には合格を高校卒業と同等とみなす扱いをするものもあります。*1
受験の間口は広く設計されています。受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる人なら受けられ、高校に在籍したままでも受験できます。*2 試験は年2回、科目数は選び方により8〜10科目。高校で修得した単位があれば科目の免除が受けられ、一度合格した科目はずっと有効なので、複数回に分けて揃えていくこともできます。
大学進学が目標なら、高卒認定はその受験資格への近道になりえます。
高卒認定の検討が向いている場合
こうした特徴から、次のような場合には、高卒認定を選択肢に入れる意味があります。
まず、大学や専門学校への進学がはっきり目標にある場合です。学校生活よりも進学の準備に時間を使いたいなら、受験資格だけを先に確保して、残りの時間を受験勉強に充てる道が開けます。
次に、体調や入院などの事情で、通学やスクーリングを続けること自体が難しい場合です。高校の卒業には3年間の在籍と継続的な単位修得が必要ですが、高卒認定は年2回の試験で完結します。文部科学省のQ&Aにも、病気で欠席が多く高校で単位を修得できなかった人が試験で補うケースが例として挙げられています。*1 通い続けることが難しい事情があるときこそ、試験だけで完結する高卒認定は現実的な選択肢になります。
費用を抑えたい場合にも合理的です。受験料は科目数に応じて4500円から8500円で、高校に通い続ける場合の学費と比べると負担は格段に小さくなります。*3 ただし、独学ではなく対策講座や予備校を使う場合は、その費用が別にかかります。
高校を中退した場合や中退を考えている場合にも、それまでに修得した単位で試験科目の免除が受けられます。*2 1年生や2年生の途中まで通っていた人なら、受ける科目は残り数科目ということもめずらしくありません。

高校卒業との違いを表で見る
ここまでを、高校卒業と並べて整理します。
| 高校卒業 | 高卒認定 | |
|---|---|---|
| 最終学歴 | 高校卒業 | 中学卒業のまま(学力の認定のみ) |
| 得る方法 | 3年以上の在籍と単位の修得 | 試験に合格(8〜10科目) |
| 大学・専門学校の受験 | できる | できる |
| 学校生活 | ある(友人・行事・日々の居場所) | ない(試験のみ) |
大学や専門学校を受けられる点は同じです。いちばんの違いは、最終学歴と、そこに至るまでの数年間の過ごし方です。
分かれ目は学歴と学校生活の2つ
考えるべき問いは2つに分かれます。「高卒という学歴が必要か」と「高校生活が欲しいか」です。学歴も学校生活も欲しいなら高校卒業の道を、学力の証明と進学の資格が目的で、学校という場を必要としないなら高卒認定を。目的の違う2つの道であって、どちらかが上という話ではありません。
注意したいのは、大学や専門学校への進学をあまり考えておらず、就職に向けて「高卒」という学歴そのものが欲しい場合です。高卒認定を取っても学歴は中学卒業のままなので、この場合には向いていません。通信制高校を含めた、高校を卒業する道を選ぶことになります。
迷う場合も、今すぐ二者択一で決める必要はありません。高卒認定は高校に在籍したままでも受験できるので、学校生活を続けながら、進学準備として併用する道もあります。子どもが求めているものがどちらなのかを、まず本人と話すところから始めてみてください。

参考文献
*1: 文部科学省|高等学校卒業程度認定試験とは
*2: 文部科学省|高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)
*3: 通信制高校ナビ|高卒認定と高卒資格の違い 高認試験の費用・受け方を解説



