通信制高校の転入・編入の違いについて教えてください!というご要望を、いただくことがあります。
文部科学省が発表した令和2年の調査「高等学校通信教育の現状について」によると、平成30年度の途中入学者数は22,865人となっています。当初入学者数が50,820人のため、転入率は約30%ということがわかります。
通信制高校に転入・編入する理由は様々あります。ただ、「別の学校にすればよかった」など、通信制高校選びで失敗・後悔はしたくありません。
この記事では、通信制高校に転入・編入する際の単位の引き継ぎや学費、必要書類まで、わかりやすく解説していきます。
ぜひ、最後までご覧下さい!
通信制高校の転入・編入とは?意味の違いを解説
通信制高校の転入とは、高校在籍中に手続きをして別の高校へ入学することをいいます。転入とは、転入学や転校とも同じ意味です。
一方、通信制高校の編入とは、一度高校を中退した人が、別の高校へ入学することをいいます。編入とは、編入学とも同じ意味です。
※高校1年生の途中(単位を取得する前)に中退した人が、別の学校へ入学する場合は、編入ではなく「再入学」といいます。
転入と編入の違いは、高校在籍期間に空白があるかどうかです。
転入は、高校に在籍している期間に空白がない人が対象です。
一方、編入は、一度高校を中退しており、高校に在籍している期間に空白がある人が対象です。
つまり、空白期間なく別の高校に入学する場合は、転入。一度中退してから高校に入学する場合は、編入となります。
通信制高校の転入・編入の入学可能時期
通信制高校の転入・編入は、それぞれ入学できる時期が異なります。
転入は、随時募集している学校が多くあります。
一方、編入は時期を限定している学校が多いです。
例えば、4月・10月に限定して編入募集をしている学校があります。また、毎月1日だけという学校や、4月・7月・10月・1月と年4回に分けて募集している学校もあります。中には、編入についても随時募集している学校もあります。
編入を検討している場合、入学可能時期まで待つとその分、卒業時期も遅れていきます。
希望する高校の編入学可能時期は必ずチェックしておきましょう。
また、入学可能時期が違うことにより、単位の引継ぎにも違いが出てきます。
通信制高校の転入・編入での単位の引き継ぎ
通信制高校に転入・編入すると、前籍校で修得した単位を引き継ぐことができます。
例えば、2年生の途中で転入・編入した場合、前籍校の1年生で修得した単位を引き継ぐことができます。
通信制高校では、単位制が採用されています。卒業には74単位が必要なので、転入・編入後に残りの単位を修得していきます。
ただ、転入・編入のタイミングによっては、引き継ぐ単位が変わってきます。
多くの全日制高校では、学年制が採用されています。学年制では、授業やテストを受け、1年間を通して単位を修得します。そのため、単位を修得できるのは、学年修了のタイミングです。
通信制高校の転入・編入での単位の引き継ぎができない例
学年の途中で別の学校へ移ったり退学した場合は、その学年で履修している単位は修得できません。
例えば、1年生の途中など、単位を修得する前に転入・編入する場合は、単位の引き継ぎがありません。そのため、再入学という扱いになります。
転入・編入についても学年の途中の場合、その学年の単位は引継ぐことができないため、注意が必要です。
自分が修得している単位数については、成績証明書(単位修得証明書)などで確認することができます。
詳しくは、一人ひとりの状況によります。
わからないことがあれば、学校に相談してみましょう。
通信制高校に転入・編入してから卒業までにかかる時間
通信制高校に転入・編入してから卒業までにかかる時間は、前籍校で修得している単位数によって異なります。
全日制高校では、多くの学校で卒業までに80~90単位以上。1学年で、約30単位を修得します。
通信制高校の卒業には、74単位の修得・3年以上の在籍が必要です。多くの通信制高校では、1年間に修得できる単位数を25~30ほどと定めています。
例えば、前籍校1年生で30単位修得、2年生の途中で転入した場合、卒業まで残り44単位必要なので最低でも2年かかります。
転入・中退学年 | 修得単位数(目安) | 卒業に必要な単位数 |
1年生 | 0単位 | 74単位 |
2年生 | 30単位 | 44単位 |
3年生 | 60単位 | 14単位 |
転入は、同級生と同時期に卒業も
通信制高校に転入の場合、同級生と同じタイミングで高校を卒業できる可能性があります。
中には、単位修得のカリキュラムを配慮してくれる学校もあります。
ただ、3年生の終わりに転入した場合、単位修得が間に合わず卒業時期がズレてしまうこともあります。
就職・大学進学などにも関わるので、現時点で卒業できるか学校に相談してみましょう。
編入は、時期が重要
通信制高校に編入する場合、入学する時期が重要です。
時期が遅くなるとその分、卒業までに時間がかかります。編入を検討している場合は、年度の早いタイミングで動き出しましょう。
また、卒業が遅れてしまいそうな場合は、卒業時期を年に2回。前期末・後期末に用意している通信制高校も検討してみましょう。卒業のタイミングが遅れるのが、半年程度で済む可能性があります。
詳しくは、一人ひとりの状況や入学時期、単位取得状況によって変わります。
自分が卒業できるようサポートしてくれる学校に相談してみましょう。
通信制高校に転入・編入の学費
通信制高校に転入・編入する学費は、受講する単位数によって変わります。
例えば、1単位が7,000円であれば、20単位受講すると14万円です。そのほかに、施設利用費や入学金、教材費などが必要になります。
ただ、入学時期によって、施設利用費や諸経費などが、年間分なのか半年分だけかは学校によって異なります。
詳しくは、単位取得状況や入学時期によって異なります。
学費についても、学校に相談してみましょう。
通信制高校の転入・編入は、書類審査と面接
通信制高校の転入・編入は、書類審査と面接だけという学校がほとんどです。
面接は、学校が生徒について知るためのものであり、選別するための面接ではありません。
通信制高校は、いろんな事情を持った人が入学します。不登校を経験した人や毎日の通学が難しい人、集団行動が苦手という人などさまざまです。
誰でも受け入れられる体制を整えた通信制高校では、試験での選別をしないことが一般的です。
ただ、大学進学コースなどを選んだ場合は、試験を行う学校もあります。
通信制高校の転入・編入に必要な手続き・書類
通信制高校の転入・編入手続きには、必要な書類が多くあります。
転入の場合、在籍する高校が作成する書類は、通信制高校が書式を指定している場合と、在籍している高校の書式でも良い場合があります。
編入の場合、在籍していた高校に発行を依頼する書類は、通信制高校に書式が指定されていることがあるので注意しましょう。
中には、前籍校に用意してもらう書類もあり、時間がかかる場合もあるため余裕を持って準備しましょう。
自分で準備する書類 | 入学願書 作文(学校による) 証明写真 受験料の振り込み証明書 健康診断書 |
前籍校に依頼する書類 | 成績・単位修得証明書 在籍証明書(在学証明書) 在籍校校長の転学照会書 |
必要書類は、入学する通信制高校によって異なります。作文や健康診断書は、ほとんどの通信制高校では必要ありません。ただ、試験時に作文を作成したり、合格後に健康診断書を求められることもあります。
願書は、通信制高校に資料請求すると、資料と一緒に同封されることがほとんどです。
募集要項や入学までの手続きもよくわかりますので、まずは資料を取り寄せてみましょう。
通信制高校に転入・編入の流れ
まずは、公式サイトや公式LINEから資料をしましょう。
- 入学願書に必要事項を記入
- 在籍する(または在籍していた)高校に必要書類作成を依頼
- 受験料を期日までに振り込む
オンラインで提出する場合や、郵送で提出する場合があります。
受験にあたって必要な受験票を受け取りましょう。
オンラインや学校へ行って、入学に必要な審査を受けましょう。
入学に必要な手続きを進めていきましょう。
通信制高校への転入・編入を希望する場合は、手続きの流れを把握して動いていきましょう。
転入・編入のどちらを選ぶべき?
転入でも編入でも、高卒資格が取得できることに変わりはありません。
もし、現在高校に在学しているなら、転入を選ぶことでより柔軟な入学時期を選択できます。そして、卒業までの期間や学費を抑えることも可能です。
ただ、一度高校を中退している場合、編入を選ぶことで単位が引き継げる可能性があります。そして、新入学より早く卒業を迎えることができます。
- 入学時期の柔軟性
- 単位の引き継ぎ
- 卒業までの時間
- 学費
転入するか編入するか迷った時は、4つのポイントをチェックしましょう!
保護者の方へ
ここまで、読み進めていただきありがとうございます。
全日制高校に通うと思っていたお子さんから、通信制高校に通いたいと言われて驚いた方も多いかと思います。実際にこれまでも、通信制高校に通わせるか悩んでいるご家族から個別にご相談いただくことが、数多くありました。
青楓館高等学院では、超優秀な生徒は、あえて学校に行かないという選択をする現代において、全日制高校に通うことはもはや当たり前ではないと考えています。
どの選択が、お子様の可能性を最大限にできるかが重要だと思います。
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